これから提示する幾何学的なデザインの立体は、どれも立方体の展開図をベースに作られています。
今回、一つの展開図から七つの図面を作成することができました。
理論上は可能でも、素材の都合で物理的に組み立てられなかったものもありました。
いざ組み立てようとしたら山折りと谷折りを間違えてしまい、紙が破れて台無しにしたりもしました。
もしこれがプラスチックだったら、3Dプリンターだったら――素材とITを駆使してスマートにモデリングしている自分でありたい、と図面を折りながら将来に思いを馳せる時もありました。
平面を立体にする過程や、逆に立体を平面に置き換える過程、そしてプロダクトを作成する際の素材について深く考える良い機会となりました。
使用紙:ケント紙
寸法:10㎝ × 10㎝ × 10㎝ (のりしろは含まない、のりしろ幅1㎝)
この立方体の展開図を元に、以下の2つの方面からアプローチしていきます。
・角をアレンジする
・辺をアレンジする
角をアレンジする
全ての角に3つの円を重ね、曲線を加えました。
角に向かって対角線を加え、角を凹ませました。
角に円を加えることで面に曲線が生まれ、立方体の展開図でも球を作ることが出来ます。
ここでは更に菱形を加え、球の中に立方体が埋め込まれているようなデザインにしました。アレンジを加える角の間隔を一つ空けました。
展開図はシンプルですが、実際に組み立てると意外と複雑な形状をしていました。
2カ所のみにアレンジを加えました。
展開図上では3カ所加えていますが、組み立てる際に重なるので2カ所に減ります。
この図面では、のりしろの処理が一番苦戦しました。のりしろに必要以上の折り目を加えると、組み立てる際にのりが剥がれてしまい、立体物の強度が落ちます。また、辺を加えることで面も増えるので、立体そのものが別物になります。
対応している面や辺を考えるのが大変でした。
辺をアレンジする
面をアレンジしているように見えますが、辺のみにアレンジを加えています。
辺に点を加えた後それらを繋ぐことで、後発的に面にも変化が生まれます。
辺の中点から角に向かって辺を伸ばし、底面を一つ作っていきます。
直線だけで構成されていますが、実際に組み立てると曲面が生まれました。
円があると曲線が加わるので曲面になると想定できますが、今回は直線のみだったので想定しておらず、完成した時はとても驚きました。
ベースの図面は立方体の展開図ですが、アレンジを加える場所、数、間隔、そしてアレンジの種類によってさまざまな変化が起きました。
立体デザインの面白さが身に染みて分かる体験でした。