8/24/2019 題:パプリカから連想されるイメージを元に平面構成せよ
【制作過程】
1 デッサン
2 単純化(線画)
3 単純化(着彩)
4 抽象化
5 線画
6 着彩
7 完成
1 デッサン
まずはモチーフとなるパプリカの特徴をおさえます。
デッサンをしながら、形、輪郭、質感、凹凸など、「パプリカがパプリカと認識されるための要素」を一つ一つ見ていきます。
2 単純化(線画)
今度はパプリカを輪切りにし、断面を観察した後に単純化していきます。
デッサンでは可能な限りパプリカの特徴を描きますが、ここでは単純化するので要素を出来るだけ削っていきます。
一つのマークを作っていくイメージです。
最終的には輪郭、厚み、種の3つが要素として残りました。
3 単純化(着彩)
単純化するので色は2色に抑えました。
アクリルガッシュで色ムラができないよう塗っていきます。
しかし、上手く塗れませんでした。原因は以下の2点です。
・アクリルガッシュを溶かす水分量が足りなかった
→ 絵具の粘度が高く、筆に取ったとき一度に大量の絵具が付いた
→ 塗る面積に対して絵具の量が多く、均一に伸ばせなかった
→ 筆跡や凹凸、ひび割れが生じた
・単純化が足りなかった
→ 種が小さく、必然的に細かい描写が必要となった
→ 隙間を埋める際に塗るスピードが低下し、その間に絵具が乾いていった
→ 筆跡や凸凹、色ムラが生じた
まとめると、種を大きくし数を減らした上で、適切な濃度の絵具を塗る必要がありました。
では、これらの反省を踏まえて本製作に移ります。
4 抽象化
ここで改めてお題を見てみましょう。
『パプリカから連想されるイメージを元に平面構成せよ』
単純化では要素を削りますが、抽象化では要素を「抽出」します。
単純化しただけではモチーフが具体的な物体として残るので、「イメージ」という抽象的な概念には適しません。
形、輪郭、質感、凹凸など、「パプリカがパプリカと認識されるための要素」を「イメージ」として「再構成」していきます。
とは言え、文面のみでは伝わりにくいので、説明はこのくらいにします。
パプリカを構成する要素を組み合わせていきます。
図案は約20種類作りました。
丸一つ取っても、大きさ、大小、形、配列など考えることが沢山あります。
それがそれぞれの要素ごとにあるので、この作業が一番大変でした。
5 線画
図案から一つ選び、鉛筆で線画を描いていきます。
その後、鉛筆の粉が絵具に混ざらないよう、練り消しゴムで粉を取っていきます。
やり過ぎると境界線が消えてしまうので、擦らず、優しく押さえるようにして取ります。
この図案を選んだ理由は以下の3点です。
・連続性があり、それにより動きが生じている(目線の誘導が促される)
・密度や動きにメリハリがある
・種、ヘタなどパーツごとの抽象化のレベルが一定に保たれており、まとまりがある
悩んだ分、自分でもお気に入りの図案が出来ました。
6 着彩
配色カードを参考にしながら、配色を決めていきます。
今回は分割数が多かったので、色数も6色と少し多めの数になりました。
配色が決まったら、出来るだけ近い色をアクリルガッシュで作ります。
この時、以下の2つに注意します。
・多めに作る
→ 混色した色は再現することが難しいからです(例:液体だと同じ色に見えたのに、乾いたら白っぽくなった)。菊皿など、深めの皿を用意すると大量に作るのが容易になります。
・ラップをする
→ アクリガッシュは一度乾いたら使えません。絵具が無駄になってしまうので、使い切れない時はラップをして乾かないようにします。
色が作れたので塗っていきます。
この時も以下の2点に注意します。
・明度が高い色、彩度が低い色から塗る
→ 白やレモン色など明度が高い色、彩度が低い色は、そうでない色よりも「弱い」です。
(例:白の上に黒を重ねても黒は消えないが、黒の上に白を重ねると黒が透けて見える)
上の写真の境界線辺りを見てもらうと分かると思います。鉛筆の黒が絵具の下から透けて見えます。
弱い色は境界線からはみ出ても後から修正出来るので、先に弱い色を塗ります。
・面積が大きい部分から塗る
→ 大きい面は目に付きやすいため、その分色ムラが目立ちます。大きい平筆で一気に塗るためにも、修正が効きやすい初期段階で塗ります。
7 完成
制作当初は横向きでしたが、色を塗った後改めて方向を検討し、90度回転させました。
通常、暗い色は重力を感じさせるため、画面の下部に配置すると安定性が生まれます。
しかし今回、パプリカからポジティブなイメージを連想したので、あえて暗い色を上部に配置し、重量感を軽減させました。
そのおかげで曲線や円が強調され、軽快なリズムを感じられるようになりました。
初めての平面構成でしたが、構成力や色彩感覚を鍛える以上の収穫がありました。
特に、自分は細かい作業が苦手であることや、作業時の不注意が多いことなどが分かりました。同時に、先生など周囲の人と適宜確認していくことで、その欠点を十分にカバー出来ることも分かりました。
仕事の際、デザイナーとクライアントの間で認識の食い違いが生じないよう、コミュニケーションを怠らずしっかり確認していくことが大切だと伺ったことがあります。今回の発見はそれに繋がっていくのではないでしょうか。
この制作は、自分自身を客観的に評価できる良い機会となりました。
受験のために制作しましたが、改めて制作したいと感じます。
(制作期間:7/13/2019 〜 8/24/2019)