MONO-COTO CHALLENGE ENSHU 2025 〜カグミ〜

⒈ プログラム概要

“MONO-COTO CHALLENGE ENSHU”は、遠州地域の中高生(中学1年生~高校3年生)を対象とした、デザイン思考を学び実践する2日間のプログラムです。異なる学校の生徒がチームを組み、与えられたテーマに対してアイデアを考え、プロトタイプを作成し、最終的に発表するまでのプロセスを体験します。このプログラムは、参加者の価値創造人材としての成長を支援する「BE CREATIVE! ENSHU」プロジェクトの一環として実施され、参加者はプログラムを通じてアラムナイコミュニティに所属し、社会人になっても関わることができます。


⒉ チーム編成について

会場が磐田市であることから、静岡県民(特に遠州地域)の参加者が半数を超えていましたが、47%ほどが静岡県外からの参加とのことでした。神奈川県からの参加なので、僕もそのうちの1人ですね(笑)


受付で名札を受け取ると同時に、自分自身のチーム番号が言い渡されます。その後、番号が書かれた机に移動してメンバーと顔合わせになります。

軽くメンバー同士で自己紹介や会話を交わした結果、4人で構成されているメンバーのうち、僕を含める3人が静岡県外からの参加で、それもメンバーの1人と僕は同じホテルに宿泊しているという、驚きの事実が分かりました。

僕たち4人については「⒋ 僕たちのチームについて」で記述しますので、そちらも合わせてお読みください。


⒊ 活動内容について

先述の通り、MONO-COTOのプログラムは、デザイン思考を学び実践することが第一目標となっており、与えられたテーマに向かってデザイン思考やグループワークを通してアイデアを発案し、最後にプレゼンをするといった流れになっています。

今回のプログラムで与えられたテーマは、

“新しい暮らしのあたりまえ”をデザインする


このテーマに向かって走った僕たち4人の軌跡を、ぜひ最後までお読みいただければと思います。


⒋ 僕たちのチームについて

チーム編成についての項目で少しだけ述べましたが、僕たちのチームメンバーは4人。

振り返ってみれば、メンバーの参加地域・年齢・性別がいい塩梅で分かれていたと思います。

メンバーについて、軽く紹介します。

カバー写真の左下に写っているのは栃木県から参加をしてくれたメンバーで、‘窓際のおっと’というだいぶインパクトのあるあだ名の中学3年生。


左上は僕なので、割愛します。


僕の右側に写っているのは、愛知県にある某高等専門学校に在学中の3年生。あだ名は‘あおと’。‘窓際のおっと’に比べればインパクトはだいぶ抑えられましたね(笑)


最後に、右下には静岡県内から参加していた中学1年生のメンバー、‘りな’。チーム内最年少というのもあり健気な子ですが、のちにその健気さがチームを和ませる重役を担うことになります。


というかなり個性の強いメンバーが揃ったな、という印象を受けました。

ただ、個々の賜物をうまく活用しながら2日間の活動をすることができたと今は思います。


⒌ 活動内容 (1日目)

僕たちに与えられたテーマは、『“新しい暮らしのあたりまえ”をデザインする』こと。プログラム公式HPには、このように書かれています。


私たちが博物館の展示物を見るのと同じように、遠い未来から現代を見てみれば、いま私たちが使っているプロダクトは”不完全なもの”に見えるのではないでしょうか。

そこで本プログラムでは、身近なプロダクトを“見たことも聞いたこともないもの”に進化させたアイデアを考え、プロトタイプをつくります。

[MONO-COTO CHALLENGE ENSHU 公式サイトから一部抜粋]


そこで僕たちはまず、‘進化していないもの’に着目してそれらをリストアップしてみました。すると、家具・家電類はデザインや機能性の変化でどんなことにも対応できてしまうため、大きな進化はないのではないかということに気が付いたのです。


家具・家電で感じる、“困りごと”にどんなことがあるのか。

次はこれを議題に話を進めると、“掃除の時に移動しづらい”“ベッドの硬さなど、人によって好みが分かれる”“コストが高い”などの意見が出ました。その瞬間、僕の頭に宿泊先のホテルが浮かびました。


僕は岩田駅周辺のビジネスホテルに母と宿泊していました。客室は比較的小さめの16畳程度で、机やベッドなどが敷き詰められるように配置されているためスーツケースを完全に開くことができません。そして何より、ホテルのベッドが僕に合わない…。


プログラムのスタッフや‘窓際のおっと’も同じホテルに宿泊しており、ユーザー(以下、N=1)が多かったことから、検証しやすく、また、納得感などを得られるテーマになったのではないかと考えました。


さて、僕たちのチームは“ホテルでの客室の窮屈感を解消する”ことを活動のテーマとしたのですが、僕はどこか違和感を感じつつありました。

部屋の窮屈感を感じているN=1が僕(15歳男性)だとしたら、単純な話部屋のレイアウトを変えるか、荷物を片付ければ解決できるのではないか

という違和感です。僕の中でこの困りごとを解決することの意義を見失いつつあったのだと、今となっては思います。

ただ、そこで一度立ち止まって考えました。本当に部屋を広く使いたい人がいるのか、と。すると、1日目の午後に行われた他チームとのフィードバック会で受けたフィードバックを思い出しました。

“子供連れの宿泊客だと、客室内で子供が遊べるスペースがあるといいのかもしれない”

これだ、と思いました。これをきっかけに、N=1を僕から3歳児を連れた母親へと変更し、2日目の活動に。

▲アイデア出しの付箋たち


ーー余談ーー

ここで、夕食の困り果てた出来事を休憩がてら。

突然ですが、磐田駅周辺に僕たち子供のみで入れるような飲食店はほとんどありません。僕は(というか遠方からの参加者は)夕食を取る場所に困っていました。すると、別のグループに東京から1人で来た学生がいて、その人含め何人かで浜松まで夕食を食べに行くという話を小耳に挟みました。せっかくの機会なので、親の許可を得て食べに行くことにしました。

僕たち4人と東京からの参加者の5人で浜松へ。


東京からの参加者と書くのもどこか気が重いので、軽く紹介します。

東京の学校に通う高校2年生で、MONO-COTOのイベントにこれまでもいくつか参加をしてきた、‘えりか’。活動初日は、グループ全員が打ち解けられず、チームマネジメントに少し頭を抱えていたそう…。


そんな5人でとりあえず浜松に来たはいいものの、何を食べるか全く決めていない僕たち。全員、食べたいものは特になしという少し困った状況。そこで僕は、グループワークの時に‘窓際のおっと’が『宇都宮餃子と浜松餃子を食べ比べてみたい』と言っていたのを思い出し、餃子の店を探しますが…御飯時というのもありどこも混雑していました。すると地元民‘りな’が「遠鉄ビルの上にあるのは?」と言ったので、とりあえず見てみることにするのですが、その場所に辿り着くまでがてんやわんやの展開。

そのお店があるのは遠鉄ビルの本館8階。しかし、僕たちが入った入口は新館だったので、本来であれば本館へ移動する必要があります(8階に連絡通路がない限り)。エレベーター前の案内図によると案内通路があるのは6階までとあるのですが、‘りな’が「大丈夫!これで行けるから!」と言うので、信じてついていくことにしますが…。8階に着くとやはり連絡通路もなければ飲食店がある雰囲気では全くありません。なんならホールのような厳かな雰囲気に包まれていました。そこで改めて案内図を見て新館と本館について説明すると、「ほんとだー!こっから行けると思った〜」との言葉が返ってきたので、僕が先頭に立って店まで行くことに。とはいえ、僕は人混みが大の苦手なのでデパートや駅ビルなどは行き慣れていません。そんな僕の後ろに4人がついてきていると思うと不安しかありませんでしたが、なんとか無事に本館8階の餃子店に到着。店内を覗くと空席はいくつかあり、メニューも餃子定食なら1,100円とまずまずといったところだったので、そこで夕食を取ることに。

ちなみに、浜松餃子の特徴はキャベツが多く使われていることで、キャベツの甘みと豚肉のジューシーさがあり、脂っこさをリセットする箸休めのような役割の茹でたもやしだそうですよ。

僕たちは浜松餃子御膳(以下、写真)を注文。確かに、キャベツが多く入っていて、野菜と豚肉のバランスが絶妙でした。

食事中も全員が同じチームのような何気ない会話で盛り上がり、充実した時間を過ごすことができました。


▲夕食の様子

▲浜松餃子御膳(8個入り)


⒍ 活動内容 (2日目)

さて、午後には発表を控えているという今日。

まず、夜に僕が考えたN=1を変更する案をメンバーに伝えたところ、納得してもらうことができ、プロダクトの機能性をどのように変えていくかを話し合いつつ、午後から始まる審査に向けて準備を手分けをして進めました。

先ほど審査という言葉を使いましたが、このMONO-COTO CHALLENGEでは各グループの作品を審査員が審査をし、優勝者は毎年夏に開催されるMONO-COTO INNOVATION への参加権を授与されます。本来、MONO-COTO INNOVATION は参加するための選考課題に取り組まなくてはなりませんが、優勝者はそれを免除されるというものです。

僕個人、この夏に開催されたMONO-COTO INNOVATION への参加に向けた選考課題に取り組んだものの落選してしまったので、是非とも参加権を獲得したいと思っていたのです。

お昼休憩頃には時間との勝負になっていました。発表には寸劇を入れなくてはならないので、発表構成と寸劇内容に加えて役割分担など、決めることは山積み。そんな中完成したプロトタイプは山積みの段ボールにしか見えないカタマリ。プロトタイプ作りに時間を費やすことはできないと、ただただ段ボールを重ねただけの試作品になってしまったのです(笑)


⒎ プロトタイプ “カグミ” について

ここで僕たちが制作したプロダクト、“カグミ”について紹介します。

そもそも、カグミというこの名前の由来は‘家具’と‘組み合わせ’の2語を合わせたものです。その名の通り、僕たちは‘家具を組み合わせることでできる遊びの空間’作りに取り組んだのです。

1日目の活動内容を紹介している項目にも記載がありますが、N=1は『3歳前後の子供を連れた母親』です。

3歳児の気持ちを想像してみてください。

日中は親に連れまわされ、泣いては怒られ、かといって遊ぶことのできる公園もない場所に何日も宿泊する辛さを。夜の客室くらい、保護者と一緒に楽しくはしゃぎたいと思うのは当然なことではないでしょうか。

ただ、実際問題どうでしょう。ホテルで大きな声を出してはいけない、子供がはしゃげるスペースがないのが現状です。


そして僕たちチームに目を向けてみると、ホテルに宿泊しているメンバーが半分以上。そのうち2人は同じホテルに宿泊しているということで、ホテルの良さを見つけつつ、今の課題を解決することができないか。そのような思いを胸にこの2日間を走り抜いてきました。


そこで提案するのが、この“カグミ”です。

この装置は、以下の画像のように家具一つ一つがLEGOブロックのように組み立てられ、ベッドや机などに変化するものです。これにより、部屋の中にある家具(冷蔵庫・箪笥など)を1箇所にまとめることができ、狭い部屋でも広く使うことができます。

しかし、いくら子供のためとはいえ重い冷蔵庫を持ち上げることに抵抗を感じる人も多くいると思いますが、付属のスイッチないしはスマホの操作で自由自在に自動で変形するため、保護者は身体的負担を感じることもなく子供が遊ぶためのスペースを作ることができます。また、子供にとっても自動で動くものに興味を抱くことで、客室内の過ごし方に期待を膨らますこととなるでしょう。

また、これはホテルにとってもメリットになります。

家具一つ一つの組み合わせで新たな家具を作り出すことにより、大型ベッドや机の購入も必要ありません。また、大きな家具・家電を購入するよりも小さな家具・家電を購入することになるので、現在よりも導入コストを抑えられる可能性もあるのです。

▲イメージ画像


⒏ 最後に

審査結果について軽く触れておくと。

審査は、Aグループ・Bグループでそれぞれの優勝者を選出し、そのにグループで総合優勝を決めるという方式ですが僕たちのグループは予選敗退。僕たちBグループの優勝チームが予想もしなかったチームだったことから、優勝チームの健闘を讃えつつも『なぜあのグループが優勝したのか』という少々失礼な疑問に僕たちメンバー全員が陥っていました。

続く最終審査。

Aグループの優勝チームもユニークな発想で、面白い発表でした。結果はAグループからのチームが総合優勝。僕としては納得の結果だと思いました。


審査基準などに少し疑問が残りますが、優勝関係なしにどのグループもそれぞれのベストを尽くし、デザイン思考を学び・実践するという今回のプログラムは僕にとって大きな成長の種となることができたと思います。これは誰しもに言えることですが、このような機会で得ることができた成長の種をどう育てていくかはその人次第で、育て方によって実る果実も変わると僕は信じています。デザイン思考だけでなく、全国の同世代がどのような活動をしていて、どんなビジョンを持って日常生活を送っているのか。それをこのMONO-COTO CHALLENGE ENSHU で学ぶことができたことを、心の底から嬉しく思います。

このプログラムで知り合えることができた仲間たちと、またどこかで共に歩むことができることを願ってーー


最後に、このような貴重な機会を提供していただいた株式会社ソミックマネージメントホールディングスと一般社団法人CREATION DRIVEの方々への感謝の意を表させていただきたいと思います。


▲僕たちの活動に関わってくれたサポーターの方とこのプログラムで交流を深めたメンバー


▲参加者とサポーターのみなさん

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